マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔2010年06月27日 09時46分11秒

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 いつだったか、電車に乗っているとき、車内吊り広告で、おやっ?とおもうポスターを見かけた。「マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔」6月25日公開!…とかいうものだった。はてっ?いったい何だ?と思った。そういえば、昨年の6月25日、突然この世を去ったマイケル・ジャクソン。早いもので、それからもう1年が経過した。その命日にあわせて何か公開されても不思議ではないが、一体何だろうか?と意味不明であった。

 マイケル・ジャクソンの死後は、何やらいろいろなDVDも発売されたし、その手の類だろうか?しかし、わざわざ映画館で上映されるようなものがあるのだろうか?半信半疑でいたが、公開間近となったある日の新聞広告で、改めてそうした映画が封切りされることを知った。

 しかも2週間の限定とのことである。なんだ?またか?昨年緊急上映された「THIS IS IT」も当初、2週間限定とかで、筆者は前売り券を購入し鑑賞し、あまりの素晴らしさに慌てて期間内にもう一度見に行った記憶がある。すると、大ヒットにつき上映期間延長…となり、結果的には結構なロングランとなり、筆者はトータル17回も鑑賞する結果となった。
そして、その後は間髪入れずDVD、ブルーレイの発売…と、まさに世紀のスーパースター、マイケル・ジャクソンの死後もたっぷり稼ごう…というどこの誰が儲けているのか知らないが、まんまとその術中にはまったのであった。

 それが、今度は1周忌のタイミングで、未だまったく衰えることのないマイケル・ジャクソンの人気にあやかって、別の映画の上映である。しかも、筆者の行く映画館では「THIS IS IT」まで再上映である。一体何なんだ?…と思いつつ、やはり隠れマイケル・ファンとしては新しい映画であれば見ないわけには行かない。…と、いうわけで封切り翌日の6月26日に妻と見に行ってきた。

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 まず、結論からすると、これは「THIS IS IT」とはまったく質の異なる映画である。ステージ風景や楽曲などは一切流れないし、そんなシーンもない。あくまでも日常的というか、どこかを訪問したり招待されたりした際のドキュメンタリー映画である。ただ、ふれ込みとして、マイケル・ジャクソンが自身の生の姿を知ってもらうために、初めてピンマイクをつけて、普段の状況を撮影することを許可した「素顔」とのことであった。確かにピンマイクをつけ、移動中の車の中の会話や、訪問先での雑談など、今まであまり公開されたことのないシーンはあっただろう。

 この映画は、完全にマイケル・ジャクソンファン向けの映画である。「THIS IS IT」のイメージを持って見に行ったら失望するだろう。死後、大量に出回ったDVDの多くは、この映画同様に、いろいろな訪問先のシーンやインタビューや関係者のコメントなどで構成されているようで、レビューを読んでもいまいち、評判はよろしくないDVDが多いように見受けられるが、この映画もマイケル・ジャクソンのステージでのパフォーマンスなどを期待して見に行ったらがっかりする。

 しかし、マイケルファンにとっては、それなりに見る価値はある映画ではないだろうか。まったく普通の男としてのマイケル・ジャクソンが見られる。ただ、多少偏見かもしれないが、シーンによっては、何やらマイケルの人気を「利用」しているようにしか見えないことも多々あった。

 生まれ故郷の市に凱旋した際のシーンや、卒業したわけでもないハイスクールの特別名誉卒業生(?)なども、何か取ってつけたようなもので、結局はマイケル・ジャクソンの寄附や知名度にあやかってのことのようにしか見えなかった。もちろん、その途中途中の生の会話などは、決してそのようなことはないのだが、訪問先によっては、どうしてもそのような偏見がちらちらしかねないシーンも感じた。

 ただ、「素顔」という意味では、確かにそうかもしれない。書籍などでも、そうした世間一般に流布されていた「変人マイケル」に反論を唱えるものは何度か読んだが、この映画はもちろんマイケル擁護の立場で一貫しているからファンにとってはまぁ満足なのではないだろうか。

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 そして、「THIS IS IT」でのマイケル・ジャクソンのイメージを持って、この映画を見ると、マイケルの体型がとてもガッシリしているのに驚く。それは裏を返せば、「THIS IS IT」のリハーサル時のマイケルが、いかにやせ細ってしまったかを再認識させる結果になるのだが、そのギャップは凄まじい。

 どうなるか、定かではないが、この映画に関しては2週間限定で十分ではないだろうか?あくまでもマイケル・ファンのための映画であり、上映延長してまでというものではないと思える。ただ、公開側としては、1周忌に当て込んだ思惑と同時に、アンチ・マイケルに対する弁明的な意図もあるのかもしれないが、そんな弁明など、もう今となってはどうでもいいことであり、死後1年経過してもなお一向に衰えるどころか、新たなファンを獲得したマイケル・ジャクソンにもう素顔がどうの…と公開したところで、それがどうなるのか?と思える。

 いかにも命日に当て込んだ商業ベースでしかないのではないか?と思える。もちろん、マイケル・ファンにとってはその意図がどうであれ、貴重な映像が見られることは願ってもないことではあるのだが。

 それにしても、改めてマイケル・ジャクソンの偉大さを実感する。そして、つくづく思うことは、マイケル・ジャクソンは、ステージに上がって曲が始まると、完全にスイッチオンとなるのだが、それ以外は非常に物静かなシャイな普通の人間であることである。今回の「キング・オブ・ポップの素顔」はそうしたステージではないマイケルの状態を知る上では、興味深いかもしれない。ここで、ちょっとダンスでも披露したら、すごいことになるだろうな、と思えるいくつかのシーンがあるが、決してマイケルは踊らないし、歌わない。スイッチオフの状態を貫き通している。
しかし、ひとたびスイッチオンとなると、まったく別人の世紀のエンターティナーがそこにはいる。そのギャップは凄まじいものである。「THIS IS IT」でも、歌っている時のマイケルと、スタッフに話しかけるマイケルとでは、まったく別人という印象だったが、今回の映画ではステージシーンなどないから、余計ステージで激しく踊り、歌うマイケル・ジャクソンとのギャップは大きい。

 この映画については、興味のある方は是非…という程度にとどめることにしたい。くれぐれも「THIS IS IT」を見て、その余韻を持って見るべきではないだろう。
まぁ、それにしても6月25日の命日を前にラジオ等でも、やたらマイケル特集が放送されていたし、筆者は時間の都合で見られなかったがTVでも特別番組が放映された。何とも、死んでも、というより死してかつての汚名を完全に払拭し、逆に新たなファンを掘り起こしたマイケル・ジャクソンは、やはり比類なきスーパースターというべきだろう。

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年末年始も「This is it」2010年01月03日 10時18分24秒

 アンコール上映中のマイケル・ジャクソンの「This is it」…、昨年11月から現時点で11回の鑑賞となった。もちろん、ほぼ連日の皆勤賞でご覧になっているMJ熱烈ファンもいるかと思うが、それにしてもよくもまぁ飽きずに観るものだ…とまだご覧になっていない方は思うことだろう。

 正直、ここまでくると自慢ではなく、ちょっと恥ずかしい気持ちになってきた。昨年の大晦日はレイトショーで21時50分から24時の回を見て、結果的には人生史上初の映画館での年越しとなった。元日はさすがに自重したものの2日はまたまたレイトショーで鑑賞。もうこうなると、回数券でもあった方が便利である。

 それにしてもなぜ、ここまで観るのだろうか?観ていない人は不思議だろう。映画は気に入った作品は何度かリピートして観ることは多々ある。DVDなどだって、一度見てもまた繰り返し見ることもあるだろう。

 この「This is it」については分析などしても仕方ないことなのだが、思うにいわゆるドキュメンタリーで、画面に出てくるすべては演技ではなく、生の状態であることも一因ではないかと思う。演じているものではなく、マイケル・ジャクソンもダンサーもバックコーラスもバンドのメンバーも全てその場で実際に行ったことが表現されているから、必然的にリアリティがある。

 そして、面白いことにここまで何度も観てくると、おやっ?と思うことに気づいた。あれっ?こんなシーン、今まで観た中ではなかったのに…まさか何パターンかのフィルムが存在しているのはあるまいか?と思ったのである。その原因は、その場面を見る際に、人間の目というのはスクリーンのすべてを一瞬にして見ることはできない。どうしたってその場面のどこかに焦点を当てて見ているわけである。

 ほとんどは、そのシーンの中心的なものにもっとも注意がいくはずだから、たとえばマイケル・ジャクソンがシーンに出ていればそこに目が行く。しかし、実際にはその近辺でスタッフやらダンサーやらバックコーラスやらバンドメンバーやらもいるわけで、それぞれが何らかの行動をしている。そこに目を向ければ、初めて見るシーンとなるわけである。そんなわけで、見れば見るほど、「余裕?」が出てきて、それまでに見ていなかった方に注意が向けられて、そこに焦点が当たると、初めて観たシーンとなる。

 そんな感覚を随分味わった。これも11回も見た結果といえば結果ではあり、だからどうなの?と言われれば特に何かどうということでもないのだが…。 まぁ、それにしても年末の締めも「This is it」、年明けの最初も「This is it」… 何ともはやという状態である。こんな調子では、DVDが発売されて手元に入手したら、それこそ毎日見るのでは?という状態である。もっとも筆者の場合、平日は時間の制約が非常に多いため、そんなことをしたら、それこそ睡眠時間が2時間くらいになってしまうかもしれないから、さすがにそこまではできないだろうが。

 それに、人間というのは不思議なもので、手元にないとやたらと欲しがるものだが、いざ手に入ってしまうとまったく無関心になってしまうという傾向があるものである。

 ただ、この「This is it」に関しては、わざわざ映画館に行かなくても、まもなくDVDも発売だから…と思っている方々に再三の「警告」である。とにかく1度は映画館で観ておいた方が絶対いいのである。以前にも記したが、映画館の大画面、大音響などは家庭では絶対に味わえない。「うちはホームシアターシステムを完備しているから」という超豪邸にお住まいの大富豪の方には無関係の話だが、普通の家庭では絶対に体験できないもの…それが映画館にはあるのである。

 「This is it」に限らず、DVDで見ればいいや、という作品であっても、やはりお金を出して映画館に行ってみておくべき作品はある。逆にわざわざ映画館に行かなくても DVDを購入、もしくはそれこそレンタルDVDで見れば十分かな…と思う作品もある。その意味でも是非「This is it」は映画館で観てもらいたい作品だと再三お勧めしている次第である。

 ところで、やや話は逸れるのだが、映画館のマナーを理解していない観客がいるのは非常に迷惑である。今やどこの映画館も総入れ替え制で座席指定だから、チケット購入時に、空いている範囲でなるべく見やすい座席を選ぶのだが、当然自分の席の周囲に観客はいるのかなどというのは実際に入場してみないとわからない。

 映画作品の種類によって、その観客層も異なるから、例えば子ども向けの作品の場合、小さなお子さまがちょっとうるさかったり…などということはあるかもしれない。面白いシーンでは必要以上に大笑いするかもしれない。映画館の売店では定番のごとくポップコーンなどが販売されているが、映画の種類によっては、こうした飲食はちょっと控えてもらいたいよね、という作品もある。

 この「This is it」などは、その部類だと思っている。実際、この映画では、上映終了後に拍手が起こっているということもよく聞く話である。熱烈なマイケル・ファンなら、じっとその場面に集中しているはずだし、その上映中に会話をしたり、飲食したり、何やらガサゴソ音を立てるようなことは絶対に慎む。こうしたことは別にファンだとかは関係ない、映画館で映画を観る際のマナーである。

 ところが、さすがにレイトショーという遅い時間帯になると、必ずしもマナーをちゃんと守る観衆ばかりではない。大晦日に観た際には、筆者の席の後ろの列に座ったまだ若い一人の男が、やたらと悪趣味な香水の匂いをプンプンさせていた。途中、何度もその強烈な匂いに、思わずちょっと後ろを見るような仕草をしたほどである。

 年明けのレイトショーでは両脇に座ったカップルがガサガサとポップコーンの袋を音を立て、食べている。時々話し声すら聞こえる。年明けの遅い時間帯に、時間潰しくらいのつもりで映画鑑賞ということなのかもしれないが、非常に腹立たしいことである。

 イチャイチャしたいなら、わざわざ映画館に来なくても、他でやってくれ!と言いたくなる。特にこのカップルの場合、女性の態度が最悪であった。ハッキリ言わせてもらうなら、こういう輩は映画を鑑賞する資格などないのである。その場所でのマナーが守れないなら、そういう場所には来てほしくないものである。

 百歩譲って、せめて作品の種類を考えて、例えば映画を観ながら飲食しても不思議ではない、いわゆる娯楽作品かどうかくらい、判断してほしいものである。入場料を払っているのだから…などということでは済まされないのである。

こうした不快なことがあると、せっかくの映画鑑賞も台無しになってしまうゆえ、これはマナーとして、それぞれの人が認識すべきことである。

まぁ、いずれにしても「This is it」…DVD発売直前まで、アンコール上映という形になるのかもしれないが、再三の繰り返しで恐縮ではあるが、まだ観ていない方は是非、上映中に1度は絶対に観てもらいたいと「警告」させてもらいたい。これはお勧めという域を超えて「警告」である(?)


THIS IS IT~その2~2009年11月22日 22時35分59秒

マイケル・ジャクソン=THIS IS IT-CD

 当初は2週間限定公開ということで、10月28日から11月13日の予定だったマイケル・ジャクソンのリハーサル風景をメインとして編集された映画「THIS IS IT」。わずか2週間しかない…と思うと、これは是が非でも見なくては、と前売り券を購入し、見た。見る以前から多分もう一回くらい見たくなるだろうな…という予感はあった。そして見たらその通りだった。

 そして、また見た。すると期間限定という制約がやたらと気になり、もう一回見ておくべきだ、見たい!という気持ちが強くなり3回めのチケット購入を決意した。…と、なんと大ヒット好評につき、上映期間延長となった。な~んだ、こんなことなら慌てて3回も見る必要はなかったじゃん、と思いつつ、それは逆にまだ見るチャンスが増えたじゃん!という誘惑の気持ちにも変わった。

 期間延長になって11月27日までとなったから、うまくスケジュール調整すればあと3回は見られるぞ!という、なんとも完全な熱狂的マイケル・ファンの様相を呈してしまった。
 筆者は以前にサイトのエッセイでもマイケル・ジャクソンが急死した際に今さらながらのマイケル・ジャクソン賛美という長文を記したが、その中でも書いたのだが、根っからのマイケル・ファンなどではなかった。

マイケル・ジャクソン=THIS IS IT04

 スリラーやバッドなど大ヒット曲で世界の頂点に立ち、絶頂期だったマイケル・ジャクソンには正直なところ、ほとんど興味もなかった。むしろ、やや人気も衰退し、スキャンダルに巻き込まれ、世間では「変人扱い」されていた頃から何やら急に興味を持つようになったのだ。

 それは、多分いろいろな奇行やスキャンダルなどの情報に接して、その「変人ぶり」に興味を持ったからかもしれない。しかし、それをきっかけとしてマイケル・ジャクソンのショート・フィルム・ムービーなどを見るようになって一気にそのすばらしさに驚嘆した。

 整形だ、幼児虐待だ、肌を脱色している、ホモだ…いろいろな情報が流れていたが、そうしたプライベートな真相はさておいて、そのパフォーマンスの素晴らしさに圧倒された。
まさに天才である。キング・オブ・ポップである。ギネスブックに人類史上最も成功したエンターティナー、最も稼いだシンガー…そんな表現に納得しないわけにはいかなかった。

 それだけに、急死のニュースは衝撃的だった。最初、どこのマイケルだろうか?どこのジャクソンだ?と半信半疑だった。ニュースが流れても、人を驚かすことが好きなマイケル・ジャクソンゆえ、きっと迫ったラスト・コンサートのロンドン公演を前にとてつもない冗談の話題を提供したのだろう…と思った。ニュースが伝え、新聞報道されても、それは全て「じつは…」という、それこそ常識を超えたジョークだと思った。

 しかし、急死は事実だった。もちろん、ニュースでしか接することができないゆえ、正直なところ、実は急死は表向きの情報で、実際にはどこかで生きていて、もうステージには立たないが、平穏な生活を満喫しているのではないだろうか?とすら思っている。マイケル・ジャクソン・ファンにとっては筆者以上にその死は信じがたい事実であり、本当は生きているんじゃないだろうか?と思いたいことだろう。
マイケル・ジャクソン=THIS IS IT07

 そんな最後のリハーサル風景主体の映画「THIS IS IT」は一体なぜこんなにも繰り返し見たくなるのだろうか?
 よく考えてみれば、リハーサル風景をいろいろと編集し、2時間ちょっとに仕上げた、ドキュメンタリー映画ではないか。もちろん、リハーサルとはいえ、全盛期の動きには年齢的に劣るかもしれないが、その分を補って余りある表現と、映像や音響技術の格段の進歩は、むしろこの映画のマイケル・ジャクソンが全盛期ではないか?と思えるほどである。

 不思議なのは、熱狂的マイケル・ファンは別として、筆者のような遅れてきたマイケル・ファンならこの映画を見て、ああ、もう一度見たいな…と思っても不思議なことではない。筆者と同年代の人なら、マイケル・ジャクソンの全盛期も知っているし、その異次元的パフォーマンスも知っているが、それゆえ全盛期を過ぎてスキャンダルまみれとなり、極端な容貌の変化などからむしろ「変人」として嫌う人も多いのではないかと思う。明らかに凡人ではないゆえ好意を持って興味を抱く人と、まったく正反対に毛嫌いする人に二分されるのではないだろうか?幼児虐待疑惑の裁判沙汰などそのいい例である。

 ところが、この映画については、それほど興味を持っていなかった人でも、一度見たら、もう一度見たい…と思わせてしまう不思議なものがあるようである。映画館でも、映画が終わり、場内が明るくなり、観衆が席を立って、出口に向かう時に聞こえてくる「もう一回見たいね」という会話を何度耳にしただろうか。

マイケル・ジャクソン=THIS IS IT02

 何を隠そう、筆者の妻などは、それまでマイケル・ジャクソンにはそれほどの興味も持っていなかったのに、映画を見た途端、何度でも見たいと変貌し、結果的には筆者よりも1回多く見に行っている始末である。ほぼ同年代の人を誘って、見に行ったのだが、その誘った友人は、まったくと言っていいほどマイケル・ジャクソンなどに興味もなかったのだが、それでも見終わったあと、「もう1回見たいね」と言ったようである。

 一体何なのだろうか?この映画はなぜ、それほどまでに見た人を惹きつけるのだろうか?
ショート・フィルムやコンサートムービーの方がおもしろいはずである。ところが、筆者にはこの「THIS IS IT」の方がおもしろいのではないだろうか?と思える。おもしろい…という表現は決して適切ではないが…。なぜか足を運ばせてしまうパワーがあるのだ。

 息子も友だちを半ば強制的に誘って、見に行った。その友人は決してマイケル・ファンではない。息子もマイケル・ファンではない。ところが、見て帰ってきた後、感想を聞いたら、マイケル知らずの友人は「感動した。泣いた」とのこと。息子も始まって5分で泣いてしまった、とのこと。息子いわく、映画館の前で若い女の子たちが、「マイケルも見たいけど、別に映画館で見るまでもないよね」という会話をしていたとのことである。

 そう、見る前はそうなのである。わざわざ見なくたって、どうせ時期が来ればDVDが発売されるでしょ。それで見てみればいいよ。DVDだって、わざわざ買わなくたってレンタルして見てみればいいよ…と多くの人は思うだろう。当然である。

 しかし、断言するが、映画館で見るべきである。スクリーンの大きさ、音響効果…それはマイケル・ジャクソンほどのスーパースターで、ネバーランドにでも住んでいれば、自宅に映画館同様の設備を整えられるかもしれないが、一般家庭ではそういうわけにもいくまい。
迫力を体験するためには、やはり映画館にはかなわないのである。そして、一度見たら最後である。もう一回見たい…かなりの確率で誰もがそう思うはずである。つまらなかった、もう二度と見たくない、チケット代が無駄だった…などという評判は一切聞こえてこない。
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 一体なぜ、ここまで惹きつけるのか?確かにマイケル・ジャクソンという人類史上最高のエンターティナーという被写体が存在するから、この映画も成り立ってきることは間違いないが、それと同時にスタッフたちの言動も惹きつける大きな要因なのではないかと思える。

 ダンサーやバック・コーラスやバンドのメンバー…全ての人が頂点であるマイケル・ジャクソンと「共演」できることに感動し、最高のパフォーマンスを発揮しようと努力しているのである。賞賛しつつも、よりいいものを作り上げるために、意見交換もする。字幕だと、果たして実際にはどのようなニュアンスなのか、わからないこともあるが、頂点に君臨するキング・オブ・ポップに敬意を表し、気を遣いながらの会話も見えたりする。

 マイケル・ジャクソンが納得せずに注意したりするシーンもある。そんなシーンでもあの独特のファルセット・ヴォイスゆえ、どの程度怒っているのか、解りかねる部分もあるが、みんなが同じ目的に向かって、より素晴らしいものを作り上げるために努力しているのである。もしかすると、そんなひたむきさがこの映画の最大の魅力なのかもしれない。

 期間延長でも、もう間もなく上映終了である。何を隠そう、今日も見てきた。妻と息子と3人でしっかりと見てきた。通算5回めの鑑賞である。上映終了までに何とかあと1回は見ようと目論んでいる
マイケル・ジャクソン=THIS IS IT05

THIS IS IT~それがこれ!2009年11月10日 17時53分00秒

マイケル・ジャクソン=THIS IS IT

 映画はもともと好きで、それこそ昔(学生時代のことで、もう何十年も前だが)は、年間何本の映画を見られるか?などと2本立てで安価な入場料で見られる映画を探しては見まくっていたこともある。
 しかし、時代とともにビデオやDVDの普及などで映画館から足が遠ざかり、会社員になり、結婚して家庭を持つなど環境の変化とともに必然的に見なくなった。

 昔の映画館は座席も粗末で、前の席との間隔も狭く、フラットな場所に座席が設置されているから、前の人の座高によっては頭が邪魔で見づらかったりと、決して映画鑑賞にはいい環境ではなかった。
 ところが、今や映画館も総入れ替え制で、指定席、座席もいい椅子で、後ろにいくにしたがって、段差がついているし、前の席との間隔も辛くない。しかも音響効果も素晴らしくなっている。そんな情報は聞いていても、やはりどうしても見たい…と思える映画がないと、なかなか足を運ばないものである。

 マイケル・ジャクソンが急死し、直前に迫っていたラスト・コンサートのリハーサル風景を映画にした「THIS IS IT」が公開されるというPRが出た。しかも2週間限定公開とのこと。これは何が何でも見なくては…と思った。
 いずれはDVDで発売もされるのだろうが、やはり家庭のテレビで再生するのと映画館で見るのとでは、スクリーンの大きさ、音響効果などがまったく違う。ホームシアターシステムを持っていて、周囲を気にせず大音響で鑑賞できるような超豪邸にでも住んでいれば、また違うのかもしれないが、我が家はあいにくマンション住まいゆえそんなわけにもいかない。

 これは何としても映画館で見よう!と一大決心(大げさである)し、前売り券発売を待って、チケットを購入した。本当はひとりでこっそりと見に行くつもりだったのだが、前売り券購入の話を妻にしたところ、妻も是非行きたい!とのこと。そこで2枚購入し、11月1日(日)の朝一番の回の指定席券で見た。じつは、前売り券を購入する際にふと思ったことがあった。
 1度見ただけで満足するだろうか?もしかしたらもう1回見たくなるのでは?という予感があった。しかし、実際に見てみないとわからないゆえ、とりあえずそうした願望はさておいて見た。 終わった瞬間、あ~やっぱりもう1度見たい!と思った。やはり前評判、いやそれ以上に素晴らしい!の一言である。

 やはり映画館で見ると迫力が違う。スクリーンの大きさはもちろん、音響も迫力があるから、まさにリハーサル舞台を間近で見ているかのごとくである。シーンが転換するときに一瞬スクリーンが暗転するが、そのたびにふ~と息をつく自分に気づいた。そう、そこまでまさに息をひそめてスクリーンを凝視していた証拠なのだろう。

 全盛期のマイケル・ジャクソンに比べれば、もしかしたらいろいろな面で衰えを感じる人もいるかもしれない。しかし、筆者には51歳のマイケル・ジャクソンが、もしかしたら一番いいのではないか?とさえ思えた。年齢にはその年齢にマッチした状態があるものである。動きはかつてのスピーディさや切れはないかもしれない。しかし、まさに円熟した動きはこの年齢だからこそできる、年輪を積んだものである。

 表現はやはりその年齢になって初めてできることが多い。積み重ねてきた経験から自然と出る表現…これはその年齢なればこそのものである。そんな漠然としたものを感じ、それぞれの年代のマイケル・ジャクソンも素晴らしいのはもちろんではあるが、映画で見るマイケル・ジャクソンはやはりまさにいろいろな意味で完成の領域に達した「全盛期」ではないかと思えた。

 オーデションを受けるために全世界から飛行機に飛び乗って集まってきたダンサーたちへのインタビュー風景から始まるこの「THIS IS IT」はまさしく「それがこれ!」である。そして、あまりにも有名なスリラーにしても当時より圧倒的に進歩したデジタル技術などの駆使によって、まさに現在での最高の表現となるはずだったようだし、ステージでのいろいろな仕掛けや構成なども、技術進歩でまさに最先端の最高技術を駆使しての最高の表現になるはずだったことが明らかである。

 終わった後、まず思ったことは、あ~あ、また見たいなぁ~という当初の予感通りの願望と、あそこまで準備して全部パーになってしまったのか!という失望感であった。
 参加していたスタッフも全員がきっと同様に思ったことだろうが、あそこまで準備して、すべては公開できず、幻となってしまったことがあまりにも残念である。

 50回という、とてつもなく多いコンサート回数については、いろいろなウワサも流れているが、もし、マイケル・ジャクソンが直前で急死することがなくても、きっと50回という回数はこなせず、どこかで倒れていただろう。聞く限りの情報では、そこまでマイケル・ジャクソンの身体は壊れていたようだが、不謹慎を十分に承知で言わせてもらうなら、せめて1回でもいいから完成されたファイナル・カーテン・コールを見せてほしかったと思わざるを得ない。

 いろいろな情報が飛び交った。映画になったリハーサルにしても、マイケル・ジャクソン本人がすでに「死」を予期していて、やってもすべて無駄になる…というようなことを言っていたとか、自身から「死」を望んでいたとか…。いろいろなウワサや情報はともかくとして、見終わった瞬間、また見たくなった。妻に聞くと「待ってました」とばかりに「また見よう!」と大乗り気である。そして何と3日(火)の祭日のチケットをネット経由で予約し、また見に行った。中1日である。にも関わらず、まったく飽きない。

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   いやそれどころか、もう1回見たいな…と思った。それとなく妻に言うと、妻もまたしても同感であった。しかし、サラリーマンである以上、見に行ける曜日は限定される。しかも2週間限定のいう期間もある。13日までしか上映されないのである。となれば、今度は7日の土曜日か?と思った。日曜日はついに壊れてしまった冷蔵庫を買い換えたため、その冷蔵庫が搬入されることになっており、そんな日に映画に行くわけにはいかない。しかし、考えてみると7日の土曜日は以前から歯医者の定期検診で予約を入れてあったことに気づいた。

   それを妻に言うと、何と「そんなもの、日にちをずらせばいいでしょ!歯医者なんていつでも行けるけど、映画は期間限定なんだから、どっちが大切かわかるでしょ!」…唖然のする筆者ではあったが、妻の言うことはもっともである。歯医者はあくまでも定期検診であり、歯痛があるわけでもなく、メンテナンスである。ならば1週間ズラそう、と早速歯医者に電話を入れ、1週間ズラして、何と7日もまた見に行った。3回めである。

 これでは、まるで熱狂的なマイケル・ファンそのものではないか!確かにオレはマイケル・ジャクソンの歌やダンスは素晴らしいと思うが、そこまでマイケル・フリークではないぞ…と思いつつ、何故か何度でも見たくなる映画なのである。
 そして、またまたネットでチケットを予約し、7日に3回めの「THIS IS IT」を見た。もう映画の展開は十分にわかっている。にも関わらず、相変わらず場面が変わる際の一瞬の暗転でスクリーンが黒くなると、ふ~と息をつく自分がある。3度めにも関わらず、そこまで知らず知らずのうちに凝視しているのである。

 2週間の期間限定公開の間に3回見たことになる。…と、な、何と大ヒットにつき、上映期間を延長する!とのこと。な~んだ、それなら慌てて短期間に3回も見に行かなくてもよかったじゃん!…と思いつつ、それとは裏腹に、悪魔のような誘いが聞こえてきた。期間延長になったということは、まだ見に行くチャンスが増えたということだよ~。しかし、幾らなんでも3回見ればいいだろう?と良心が反論する。しかし、悪魔のようなささやきは容赦しない。

 そんなこと言って、本当はまだ見たいと思っているんだろ?う~ん、そういう気持ちは否定はしないけど、幾らなんでもまだ見に行く…っていうのは、ちょっと恥ずかしくない?と良心が答える。悪魔のささやきは、良心のちょっとしたためらいを敏感に察知して言う。いいじゃん、何とか日程調整すれば、あと3回は行けるよ。たとえば、この日とこの日と…悪魔のささやきはここぞとばかりたたみかけてくる。しかも、妻も大乗り気である。

 こういう場合、当人にまったくその意思がなければ、いかに周囲がどうこう言おうが、悪魔のささやきが強烈であろうが、まったく問題なく拒否するのだが、一番の問題は当人にその意思が十分にあるということである。それをあえて拒否しようとしているのは、単に幾らなんでも見すぎじゃないか?という妙なテレである。「THIS IS IT」を6回見た…などと世間に知られたら、それこそ笑い者にされるのではないか?という社会的不安である。

 そして思案の挙句、ついに真実の声に従った。とりあえずもう1回、とまたまたネットでチケットを予約したのである!今まではすべてその日の最初の上映回を見たが、今度は最後の回で見ようと予約した。それはこの文章を記している数日後である。4回めになる。まだ実際に予約はしていないものの、11月27日までとなった上映期間をにらみ、すでに構想として5回め、6回めをイメージしている。あえて「THIS IS IT」を6回も見たおじさん…という汚名(?)を覚悟の上である。

 ここまでくると、正直なところ、自分自身でも呆れており、それにすべてつきあうことを積極的に宣言している妻にも呆れている始末である。さて、果たして予定通り6回も見に行くのだろうか?4回めで、もういいや…と思うだろうか?さて、どうだろうか?


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