コダマさん、やったね!2008年10月26日 15時57分36秒

小4夏物語/文芸社刊
 人は誰でも多かれ少なかれ、他人の成功には「嫉妬心」というものを抱くものである。それはある意味では自分が一番でないと気が済まない…という感情からかもしれないし、自分にできないことを他人がやってしまったことに対する羨望の気持ちかもしれない。

 学生時代は学校の成績が優秀なヤツに対して、嫉妬したこともあったし、スポーツ万能なヤツに対して妬ましく思ったりしたものである。そして、そういうヤツが何か失敗でもしようものなら、表立ってではなくても心の中では「ざまあみろ!」などと溜飲を下げたりもしたものである。

 他人が成功しても、自分の成功の方が上だと判断できれば、それこそ健闘をたたえ合うのだが、何かの競技で自分は3位で銅メダルだったとしたら、2位の銀メダルの選手と1位の金メダルの選手に対して多少なりとも嫉妬を覚える。

 会社などのビジネス世界でも同様である。出世競争などはその最たるものである。誰がどう見ても実力と実績と人望で、上に登っていった人ならもう別世界の人…として認めざるを得ないが、世の中必ずしもそうとは限らない。うまく立ち回って、政略的に偉くなる人物がゴロゴロいるのが実際である。それでも、やはり自分より「出世」した者に対しては妬みを覚えるものである。

 「嫉妬心」というのは、多かれ少なかれ誰もが抱く自然な感情なのかもしれないが、ちっぽけな嫉妬心の場合、それを感じている自分自身に気づくと非常に情けなくなるものである。自分の人間性の小ささを実感せずにはいられない。

 ところが、何故か不思議なことに他人の成功や飛躍なのに、そうした「嫉妬心」もなく、本当に素直にそれを喜べる場合がある。つい最近、筆者の下に1通のハガキが届いた。差出人は筆者が運営するWebサイトのコンテンツの一環として公開している「リレー絵本」にご参加くださっている一人であった。

 ハガキには綺麗な本の表紙が印刷され、「小4夏物語」と書かれている。筆者の運営する「ともだちMUSEUM」というサイトの「独断でおすすめの1冊」でも紹介させていただいたが、2008年10月3日に発売されたというこの児童書の全編イラストを担当された児玉やすつぐ氏(リレー絵本ではコダマのペンネームでご参加)からのハガキであった。

 読むと、児玉氏にとって「イラストレーターとして商業出版デビュー作となります」とのこと。筆者もサイトでしぶとく紹介を続けているが、2003年12月に大人の癒し絵本という位置づけで「I will…」という絵本を出版した。しかし、これはあくまでも著者である筆者が制作費を負担するという共同出版というスタイルのものであり、厳密に言えば出版したと言うよりも半ば強制的にお金を払って出版したようなものである。

 今はやや下火になりつつあるようだが、この共同出版(出版社によってその呼称は異なるが)は、筆者の実体験からすると端的に言ってしまえば、お金を出せば誰もが作家デビューできることになるのである。もっとも筆者のように金銭的に余裕のない人間が、出版したいという一念で無理をすると、その後々に著者負担の制作費を長期ローンで返済という憂き目を味わうのだが…。

 そんなある意味では邪道とも言うべきスタイルで商業出版した筆者からすれば、今回の児玉氏からのハガキは紛れもなく「嫉妬心」の対象になるはずである。なぜなら、経緯の詳細はわからないにしろ、少なくとも児玉氏はご自分でお金を負担して今回の挿絵イラスト全編を担当されたわけではなく、あくまでも著者もしくは出版社からの「正式な依頼」を受けて、仕事としてイラストを描き、それが商業出版されたのである。正真正銘の商業出版デビューである。筆者ごときの邪道出版ではないのである。

 …ところが、不思議なことに児玉氏からのハガキを見た瞬間に筆者が思ったこと…それは「コダマさん、やったね!」であった。100%の祝福の感情だった。

 いくら「リレー絵本」でお世話になっているとは言え、少なくとも同じようなジャンルで生きていければ…と考えているであろう児玉氏は、ある意味ではライバルでもあるわけである。ライバルの成功や飛躍は、どんな世界でもそれを素直に祝福することなど困難である。口では奇麗事を言っても心の中では多少なりとも「嫉妬心」がうごめいているものである。

 ところが、今回のハガキを見た瞬間の筆者の感情は繰り返し記すが「コダマさん、やったね!」だったのである。もちろん、「いいなぁ」「羨ましいなぁ」という嫉妬心を完全否定するわけではない。しかし、そんな感情よりもはるかに「やったね!」という感情が大きかったのである。

 自分自身でも不思議である。一体何故なんだろうか?と思った。そして、つくづく思った。それは「人間性」なのだと。日々、努力を重ね、毎日を真剣に頑張って生きている人にようやく暖かい光が差し込んだ時、一体誰が妬むだろうか?あいつが光を浴びやがった…などと誰が思うだろうか?もちろん、筆者は児玉氏とはリレー絵本を通しておつき合いをさせていただいているが、面識があるわけではなく、原稿の受け渡しも含め、メール等で連絡する友人の一人である。

 児玉氏の日常や詳細を充分に知っているわけでもない。しかし、記憶では児玉氏が転職等を含めご自身の周辺状況をメールで伺ったことがあった記憶があり、その時以来、彼の日々生きる姿を何となくイメージし、「この人は本当に頑張って生きている人だなぁ」と感じた。

 児玉氏のホームページを拝見しても、その画風を拝見しても、とにかく前向きなのである。そんな頑張っている人がやっと光を浴びたら、いったい誰がそれを妬むだろうか?児玉氏にはそういう雰囲気があるのである。だから、今回は決して、格好をつけるわけでもなく、自分をいい子に見せるわけでもなく、100%「コダマさんやったね!」なのである。

 今回の商業出版デビューをひとつのきっかけとして、児玉氏がより大活躍できるステージが広がっていくことを本当に素直に期待したい気持ちである。今回は誠に残念なことに、児玉氏の名前は本の表紙に記載されることもなく、プロフィール紹介もなく、またネット書店での各店舗での本紹介でも「児玉やすつぐ」の名前は表記されていないが、せめて筆者は友人の一人として大々的にPRさせていただく意味も含め、この文章を記した。

 「コダマさん、やったね!」
そして、そう素直に、ピュアに祝福できる自分自身はとても気持ちいいものである。

コダマの森も是非ご来訪ください。暖かくやさしい児玉氏のたくさんのイラストがご覧になれますよ。
またここでご紹介の児玉氏が全編イラストを担当された「小4夏物語」はインターネット書店「アマゾン」「楽天ブックス」「セブンアンドワイ」「ブックサービス」でご購入いただけますので、是非お買い求めくださいね。

コメント

_ コダマ ― 2008年10月26日 22時30分43秒

文章力に疎い自分には、なかなか上手な言葉が浮かびませんが、ただ

ありがとうございます

僕にとって財産となりました「ともだちMuseuM」との繋がり。これまでたくさんのアドバイスや激励をいただき、どれほど自分が先へ進む勇気をいただいたことか知れません。
この感謝の気持ちをずっと忘れることなく、良い作品が描けるよう精進してまいりたいと思います。

今後とも変わらぬお付き合いを、よろしくお願い致します。

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